- 日本形成外科学会 認定専門医
- 日本美容外科学会(JSAPS) 正会員
- 2016年 スキンリファインクリニック吉祥寺院院長 勤務
- 2021年 東京美容外科 銀座院院長 勤務
- 2024年 GLAMRULE CLINIC 銀座院 院長

アクアフィリング(現ロスデライン)豊胸術を受けてから数年が経過し、体内の状態や今後のリスクについて懸念を抱えている方は少なくありません。
充填剤の特性上、時間の経過とともに組織内での移動や感染のリスクが高まることが医学的に確認されています。 本記事では、術後数年が経過した際に生じうる具体的なリスクと、確実に除去するための論理的な解決策を解説します。
アクアフィリングは主成分が水分(98%)とポリアミド(2%)で構成される親水性ジェルです。
注入直後は組織に定着しているように見えますが、術後数年という経過の中で物理的および化学的な変化が生じます。 ここでは解剖学的な観点から、体内で起きている現象を解説します。
アクアフィリングによる合併症は、注入直後よりも術後3年から5年程度経過した時点で顕在化する傾向にあります。 これはジェルが組織内で被膜(カプセル)を形成せず、周囲の組織に浸潤する性質を持っているためです。
重力や大胸筋の動きによる物理的な圧力が長期間加わることで、注入されたジェルが当初の位置から移動し、不自然な膨らみや変形を引き起こします。
自覚症状がない場合でも、組織レベルでは異物反応が進行している可能性があります。ポリアミドは非吸収性の物質であり、体内では異物として認識され続けます。
慢性的な炎症反応が微弱に続くことで、周囲の組織が硬化したり、癒着が生じたりすることがあります。無症状であっても、ジェルが乳腺組織や筋肉の間に入り込んでいるケースは珍しくありません。
時間が経過するにつれて高まるリスクには、感染症と充填剤の移動(マイグレーション)が挙げられます。これらは自然治癒することはなく、外科的な介入が必要となる病態です。
術後数年が経過していても、突発的に感染症を引き起こすリスクがあります。アクアフィリングは親水性が高いため、細菌が繁殖するための培地となりやすい特性があります。
体調不良や疲労によって免疫力が低下したタイミングで、潜在していた常在菌が活性化し、バイオフィルム(細菌の膜)を形成することが原因です。
一度感染が生じると抗生物質の投与だけでは制御が難しく、排膿や洗浄が必要となります。
ジェル状の充填剤は、組織の抵抗が少ない方向へ流れる性質があります。胸部に注入されたアクアフィリングが、皮下組織や筋膜上を伝って腹部や脇の下、背中側へと移動する事例が報告されています。
広範囲に浸潤してしまうと、除去手術の難易度が上がり、侵襲も大きくなります。とくに大胸筋内や乳腺下への深い浸潤は、正常組織との境界を不明瞭にし、完全な除去を困難にします。
現状の状態を把握するための確認項目です。
アクアフィリングの除去を検討する際、多くのクリニックで行われている検査や治療法には限界が存在します。不完全な除去は、感染の再発や慢性的な炎症の原因となります。
画像診断はジェルの位置を大まかに把握するためには有効ですが、組織への浸潤度合いや微細な粒子の拡散までは正確に描出できない場合があります。
画像上では塊として見えていても、実際には組織の繊維の間に細かく入り込んでいることが多々あります。画像診断のみに依存した手術計画では、目に見えないレベルでの取り残しが発生するリスクが否定できません。
多くのクリニックでは、小さな切開創からカニューレ(管)を通してジェルを吸い出す「吸引法」が採用されています。しかし、術後数年が経過したアクアフィリングは組織と強固に癒着していたり、隔壁(部屋のような仕切り)を形成していたりすることがあります。
盲目的な操作である吸引法では、これらの隔壁を破壊して奥にあるジェルをすべて取り除くことは物理的に困難です。結果として、感染源となるジェルが体内に残留することになります。
当院では、エコーやMRIなどの画像診断機器を保有せず、またそれらに依存しない「完全直視下法」による除去手術を行っています。
これは、直接目で見て確認しながら、確実に異物を除去するための医学的な判断に基づくものです。
当院のアプローチは、乳房下溝(アンダーバスト)などを切開し、医師が直接患部を目視しながら除去を行う方法です。
モニターや画像データ越しの情報ではなく、実際の色や質感、癒着の程度を肉眼で確認することで、正常組織とジェルの境界を正確に判別します。
これにより、組織の隙間に入り込んだジェルや、変性した組織を可能な限り除去することが可能となります。
ジェルの除去後は、生理食塩水による徹底的な洗浄を行い、微細な残留物も洗い流します。また、感染のリスクがある組織(被膜や壊死組織)が見つかった場合は、その部分も含めて切除します。 このプロセスは、盲目的な吸引法では不可能です。
「目で見て確認し、手で触れて判断する」という外科の基本原則を徹底することが、術後のトラブルを防ぎ、再発リスクを最小限に抑えるための唯一の手段であると当院は考えています。
| 比較項目 | 一般的なクリニック (他院の治療) | 当院 (当院の治療) |
|---|---|---|
| 除去のアプローチ | 盲目的操作 エコー画像を頼りに、カニューレを用いた吸引を行う。 癒着部位や隔壁の奥にあるジェルの確認が困難。 | おすすめの理由 完全直視下
切開を行い、医師の肉眼で患部を直接確認しながら除去する。 組織の隙間や癒着部分も確実に処置が可能。 |
| 残留リスク | 高い 組織に浸潤したジェルを取りきれず、体内に異物が残留しやすい。 これが再感染やしこりの再発原因となる。 | おすすめの理由 最小限
目視による徹底的な除去と洗浄を行うため、取り残しを極限まで減らすことができる。 |
| 設備依存度 | 機械依存 術前の画像診断や術中のエコー画像に依存するため、画像に映らない微細な病変を見落とす可能性がある。 | おすすめの理由 技術依存
機械に頼らず、解剖学的知識と外科的技術に基づいた「直視」を最優先とするため、確実性が高い。 |