- 日本形成外科学会 認定専門医
- 日本美容外科学会(JSAPS) 正会員
- 2016年 スキンリファインクリニック吉祥寺院院長 勤務
- 2021年 東京美容外科 銀座院院長 勤務
- 2024年 GLAMRULE CLINIC 銀座院 院長

金の糸リフトは、肌の若返りやリフトアップ効果が期待できる美容施術として注目を集めています。
しかし、施術を検討する中で「顔面麻痺が起こることはあるのか」「ダウンタイムとの違いが分からない」といった不安を感じている方も少なくありません。さらに、「金属が体内にあることで将来的にMRI検査が受けられないのでは」と懸念される声もあります。
この記事では、金の糸による施術で実際に麻痺が起こるリスクや、ダウンタイムとの見分け方、将来の医療検査への影響までをわかりやすく解説します。
金の糸リフトは、皮膚の下に微細な金属の糸を挿入し、肌のハリやリフトアップ効果を促す美容施術として知られています。
しかし、顔面麻痺のような深刻な後遺症が起こるのかどうかについて、不安を抱く方も多いのではないでしょうか。
現在の医療情報や症例報告を見る限り、金の糸リフトによって直接的に顔面神経が損傷され、麻痺が生じるケースは極めてまれです。
これは施術が主に真皮層や皮下組織の浅い部分にとどまるため、深部に走行する主要な神経には通常到達しない設計になっているからです。
ただし、術者の技術や使用される針の深さによっては、神経周辺に炎症が起こることがあり、その結果として一時的な動きの悪さを感じるケースは考えられます。
施術後に顔の筋肉が動かしにくくなることがありますが、それが一時的なダウンタイムによるものなのか、神経の損傷による麻痺なのかを見極めることは非常に重要です。
ダウンタイムとは、施術直後から数日〜数週間にかけて現れる一時的な腫れやむくみ、違和感などを指します。
この時期には筋肉が引きつるような感覚や、表情が作りづらい状態になることがありますが、ほとんどが自然に回復していきます。
一方で、麻痺とは明らかに片側の表情が動かなくなる、笑顔が不自然になる、まぶたが閉じにくいなど、神経伝達に障害が出た状態を指します。
こうした症状が長期間続く、または施術直後から急激に現れる場合は、速やかに医療機関での神経学的検査を受けることが推奨されます。
施術後に顔の筋肉の動きに違和感がある場合は、いくつかの確認ポイントがあります。
まず、腫れや内出血があるかをチェックしましょう。
次に、表情の左右差があるか、特定の筋肉だけが動かないかを確認します。
腫れや引きつれが原因であれば、冷却や圧迫、時間の経過とともに改善していく傾向があります。
しかし、触れても感覚が鈍い、あるいは逆に過敏で痛みが強いなどの感覚異常を伴う場合は、神経障害の可能性もあるため注意が必要です。
表情筋の片側だけが著しく動かないなどの症状がある場合は、なるべく早く医療機関に相談しましょう。
万が一、施術後に違和感や麻痺のような症状が現れた場合、自己判断で放置するのは避けるべきです。
まずは施術を行ったクリニックに連絡し、経過観察や再診の予約を取ることが大切です。
神経学的な評価が必要な場合は、神経内科や形成外科での精密検査を受けることも検討しましょう。
早期に適切な処置が行われれば、多くの症状は改善が見込めます。
また、医療機関によっては、神経の再生を促す治療やリハビリなどが提案される場合もあります。
金の糸は非磁性体であるため、磁力によって体内で移動したり破損することは通常ありません。
しかし、導電性のある金属であることから、MRIの高周波に反応して発熱するリスクがあると指摘されています。
このため、検査機関によっては安全性への懸念から、金属が体内にある患者に対してMRI検査を拒否する場合もあります。
また、事前に申告をしても対応できるかどうかは、検査施設や担当医の判断によるため、確実な保証はありません。
将来的に脳や脊椎などのMRI検査が必要になった際に、診断が遅れるリスクを念頭に置いておくことが重要です。
金の糸が体内にある状態では、MRIによる脳や神経系の検査に支障をきたす可能性があります。
たとえば、脳梗塞の初期症状が出たときにMRI検査が行えない、あるいは検査自体が遅れることで治療が手遅れになるリスクが否定できません。
特に、年齢を重ねてから神経疾患のリスクが高まることを考えると、美容目的で行う金の糸リフトが将来的な医療対応に影響を及ぼす可能性についても、事前に十分理解しておくべきです。
医療と美容のバランスを冷静に考えたうえで、施術の可否を判断することが大切です。
金の糸はMRIやCTの画像上でアーチファクトと呼ばれる乱れを引き起こすことがあります。
これは、金属によって信号が遮られたり、画像が歪んだりする現象であり、検査画像の一部が見えにくくなる原因となります。
特に顔面や頭部に金の糸が入っている場合、脳や目、顎周辺の詳細な描出が困難になることもあります。
このような画像の乱れがあると、医師の診断の精度に影響を与えることになりかねません。
結果として、診断がつきにくくなったり、再検査が必要になるケースもあります。
金の糸は溶ける素材ではなく、基本的に体内に半永久的に残存します。
このため、将来的に施術を取り除きたいと考えた場合でも、完全な除去は非常に困難であり、残留物が皮膚や組織に影響を与える可能性があります。
一度体内に挿入された金属が長期間にわたり影響を与える可能性を十分に理解した上で、施術を選択する必要があります。
また、長期間体内に異物が存在することに対して、慢性的な炎症やしこりが生じるリスクも考慮するべきです。
金は比較的アレルギーを起こしにくい素材とされていますが、それでも全くリスクがないわけではありません。
体質によっては、金属に対するアレルギー反応や異物反応を起こす方もいます。
特に、以前に金属製のアクセサリーでかぶれた経験がある方や、アトピー体質の方は注意が必要です。
施術前には必ず医師とのカウンセリングを行い、必要に応じてパッチテストなどで金属アレルギーの有無を確認することが望ましいでしょう。
金の糸による美容効果については、肌のコラーゲン生成を刺激することでハリが出るといった理論が広まっています。
しかし、こうした効果については十分な科学的エビデンスが揃っておらず、専門家の間でも見解が分かれているのが現状です。
また、長期的な安全性に関しても、症例数が限られていることから、確実な効果やリスクを明言することは難しいとされています。
美容医療を受ける際には、短期的な美しさだけでなく、将来的な健康への影響も踏まえた冷静な判断が求められます。