- 日本形成外科学会 認定専門医
- 日本美容外科学会(JSAPS) 正会員
- 2016年 スキンリファインクリニック吉祥寺院院長 勤務
- 2021年 東京美容外科 銀座院院長 勤務
- 2024年 GLAMRULE CLINIC 銀座院 院長
豊胸手術に使用されるバッグには、モティバ・ペアル・ベラジェル・メスモといった複数の製品があり、それぞれ構造や質感、安全対策、耐用年数に違いがあります。
「どれを選べば自分に合うのか」「失敗や後悔は避けたい」といった不安を抱えるのは、ごく自然なことです。
本記事では、各豊胸バッグの特徴や安全性、を客観的かつ専門的に整理し、自分に合った製品を選ぶための判断材料を提示します。また、体型や仕上がりの希望、将来的なメンテナンスを踏まえた選び方のポイントも明確に解説しています。
豊胸バッグには主に「コヒーシブシリコンジェル」が使用されており、これは破損時にも内容物が漏れにくい性質を持つゲル状の素材です。また、バッグの外側は複数層構造で作られており、層の数やバリア層の有無によって耐久性や柔軟性が変わります。たとえば6層構造や7層構造のバッグは、破損リスクを低減させる工夫が施されています。素材選びは、安全性と仕上がりのバランスに直結します。
バッグの質感は、柔らかく自然に動くタイプと、弾力が強く形状を保つタイプに大きく分かれます。柔らかさを重視する場合は、日常生活でも自然な揺れや触感を感じられるため、仕上がりがよりナチュラルになります。一方で弾力のあるタイプは、谷間の形成やバストの高さをしっかり出したい方に適しています。どちらを重視するかによって、選ぶべき製品は変わってきます。
体型やバストの状態は、バッグ選びにおいて非常に重要です。痩せ型で皮膚が薄い方には、柔らかくて自然な質感のバッグが向いています。授乳後でバストが下垂している方には、ある程度の弾力と高さをキープできるタイプが適します。左右差がある方の場合は、左右でサイズや形を微調整できるバッグが推奨されます。いずれにしても、体の特性に応じた選定が必要です。
FDAとはアメリカ食品医薬品局、CEマークとはEU加盟国における安全基準を満たした証です。これらの認証を取得しているバッグは、一定の安全性と品質が保証されています。また、リップリング(シワ状の凹凸)やカプセル拘縮(バッグ周囲が硬くなる状態)を防ぐ構造があるかどうかも、安全性を判断する上での重要な指標です。安全面を重視するなら、これらの対策が施されている製品を選ぶべきです。
シリコンバッグにはおおよそ10〜15年の耐用年数があり、それ以降は入れ替えを検討する必要があります。製品によっては10年保証や破損時の交換制度が用意されているものもあります。
将来的なリスクや経済的負担を考慮すると、こうした保証制度の有無は製品選定の大きなポイントとなります。長期的な視点からも、慎重に選ぶべきです。
「大きくしすぎて不自然になった」「柔らかさを重視しすぎて形が保てなかった」など、選定ミスによる後悔は少なくありません。
事前に自分の体型や生活スタイルを客観的に把握し、どの要素を重視するかを明確にすることが大切です。
モティバは、コスタリカのEstablishment Labs社によって開発された豊胸バッグです。
過去にアラガンやメンターに在籍していた技術者が設計しており、高度な研究開発のもとで製造されています。近年では多くの医療機関で採用されており、豊胸手術の主力ブランドとして認知されています。
モティバは、充填率100%のコヒーシブジェルを使用しており、非常に柔らかく自然な触感が特徴です。バッグの中身が偏らないように設計されているため、横になったときや動いたときにも自然に形が変化します。特に日常生活での見た目の違和感が少なく、ナチュラル志向の方に適しています。
外膜には6層構造が採用されており、破損に対する強度が高められています。また、バリア層によってシリコンオイルの滲出を抑制する工夫もなされています。さらに、TrueMonoblocという構造により、バッグ全体が一体的に動くことで裂けにくい設計になっています。これらはすべて、長期的な安全性の向上を目的としています。
最新モデルである「エルゴノミクス2」では、従来モデルと比べてシェルの強度が約2倍、柔軟性が45%向上しています。
また、内部ジェルにはUltimaジェルが採用され、より滑らかで自然な触感が得られるようになりました。術後の仕上がりや患者満足度の面でも、高評価を得ている製品です。
ペアルは、ドイツのGC Aesthetics社によって開発された豊胸用シリコンバッグです。FDA(アメリカ食品医薬品局)およびCE(欧州連合適合性評価)マークを取得しており、安全性と信頼性が国際的に認められた製品です。医療用インプラントとしての歴史と実績を兼ね備えています。
ペアルの最大の特徴は、その絶妙な柔らかさと弾力性にあります。内部のコヒーシブジェルは柔軟性が高く、自然な触感を実現する一方で、しっかりとした形状保持力も備えています。そのため、皮膚の薄い方や痩せ型の方でもシワや変形が起こりにくい構造になっています。
ペアルは横だけでなく縦方向にも高さを出すことができ、立体感のあるバストラインを形成します。特に自然な丸みを帯びたデザインが採用されているため、下着や水着を着用した際にも人工的な印象を与えにくい点が魅力です。
ペアルの挿入には「ケラーファンネル」という専用デバイスを用いることで、バッグに直接触れることなく挿入できる手法が採用されています。これにより、術中の細菌感染リスクを軽減し、カプセル拘縮(バッグの周囲が硬くなる現象)の予防にもつながります。
ペアルには200cc〜350ccまで複数のサイズがあり、それぞれ仕上がりに大きな違いがあります。
たとえば200ccでは自然なボリューム感、300cc以上では谷間の強調やボリュームアップが可能です。無理なサイズアップは皮膚への負担となるため、体型に応じた適切な選定が必要です。
ベラジェルは、韓国のHans Biomed社によって開発・製造されているシリコンバッグです。承認されていない製造工程の変更が行われたことにより、製品の信頼性に疑念が持たれる結果となりました。
これを受けて、韓国食品医薬品安全処(MFDS)が調査を行い、製造元であるHans Biomed社に対して行政処分が科されました。
現在日本国内で流通している製品については、正式なルートで安全基準を満たしていることが確認されていますが、使用を検討する際にはこの過去の事例を十分に考慮する必要があります。
ベラジェルは、密度がやや高めのジェルを使用しており、しっかりとした触感が特徴です。バッグの形状保持力が高く、胸のボリューム感をはっきり出したい人に適しています。アジア人女性の胸郭や皮膚の厚みに合わせた設計がされており、日本人にもフィットしやすい構造となっています。
メスモはドイツ製のシリコンバッグで、CEマークを取得している国際的な安全基準を満たした製品です。
ヨーロッパを中心に使用されており、日本国内でも高品質な豊胸インプラントとして評価されています。欧州の厳格な医療機器基準に準拠している点は、安全性重視の方にとって大きな判断材料となります。
メスモの特徴は7層構造の外膜と、比較的粘度の高いコヒーシブジェルを使用している点です。この構造により、バッグの破損リスクを抑えながら、しっかりとした弾力を保つことができます。触感としてはややハリのある仕上がりで、特にバストの形をはっきりと出したい方に適しています。
メスモには10年間の製品保証が付いており、万一の破損時にも交換対応が可能です。また、術後に特別なマッサージや圧迫固定を必要としない点も特徴です。日常生活への影響を最小限に抑えつつ、美しいバストラインを実現することができます。