- 日本形成外科学会 認定専門医
- 日本美容外科学会(JSAPS) 正会員
- 2016年 スキンリファインクリニック吉祥寺院院長 勤務
- 2021年 東京美容外科 銀座院院長 勤務
- 2024年 GLAMRULE CLINIC 銀座院 院長
本記事では、水光注射が届く皮膚の層、注入の深さによる効果や副作用の違い、使用する薬剤ごとの最適な深度、について解説します。
人間の皮膚は大きく分けて「表皮」「真皮」「皮下組織」の3層に分かれています。水光注射で薬剤が注入されるのは、主に「真皮浅層」と呼ばれる部分です。
これは表皮のすぐ下にある層で、深さとしては一般的に0.6mm前後、機器や部位に応じて0.4〜1.2mmの範囲で調整されることが多いです。
この層には、コラーゲンやエラスチンが豊富に含まれており、肌の弾力やハリに大きく関与しています。
水光注射に使用される機器では、通常0.4〜1.2mmの範囲で針の深さを調整できます。
特に、0.6mmを基準として設定し、部位や肌質に応じて微調整されるケースが多いようです。一部の機器では最大で2.0mmまで深さを変更できるものもありますが、基本的には真皮浅層を狙って注入されるのが一般的です。
水光注射は、どの深さに薬剤を届けるかによって効果が大きく変わります。ここでは、注入深度によって得られる美容効果や、目的に応じた深さの選び方について解説します。
真皮浅層への注入では、肌の表面近くにヒアルロン酸やビタミンなどの保湿・美肌成分が届けられます。
これにより、肌の内側からの保水力が高まり、ハリや弾力が向上。さらに、毛穴の開きや小じわの改善、肌の透明感の向上などが期待できます。浅層への注入は、ナチュラルな仕上がりを求める方に適しています。
目的や使用する薬剤によっては、通常よりやや深い層に注入するケースもあります。
例えば、リジュランのような再生因子製剤は真皮深層に近い部分に注入されることで、皮膚の再構築を促進します。
このような深めの注入では、肌の根本的な再生を促す治療効果が期待できるため、ニキビ跡やクマなどの改善にも有効です。
一部の製剤(例:PDLLA)では、浅すぎる注入で結節などの副作用リスクがあるため、適切な深度設定が重要です。
水光注射は針を使う施術である以上、痛みや内出血などのダウンタイムが気になる方も多いでしょう。実際に、注入の深さは痛みや副作用にも影響します。
表皮直下への注入であれば、針が皮膚の浅い部分にしか届かないため、痛みは比較的軽度に抑えられます。
ほとんどのクリニックでは事前に麻酔クリームを使用するため、施術中の不快感は最小限です。浅い層に打つことで、肌への刺激が少なく、リスクも低く抑えられるという利点があります。
一方で、深い層に注入する場合は、血管や神経への影響を受けやすくなるため、痛みや内出血のリスクは相対的に高まります。特に目元や頬など皮膚が薄く、血管が集中している部位では注意が必要です。以下の表は、深さごとの一般的な痛みやリスクの傾向をまとめたものです。
注入深度 | 痛みの程度 | 内出血リスク | 使用薬剤例 |
---|---|---|---|
0.4〜0.6mm | 軽度 | 低い | ヒアルロン酸、ビタミン |
0.6〜0.8mm | 中度 | やや高い | 成長因子、フィロルガ |
0.8〜1.2mm | やや強め | 高め | リジュラン、ボトックス、PDLLA製剤 |
赤みや内出血は、一時的に生じることがあるものの、通常は1〜2日程度で改善することが多く、深さとともにリスクも適切に管理されています。