豊胸手術において近年注目を集めているのが、FDAに正式認可されたシリコンインプラント「モティバ」です。
なかでも、「どれくらいの期間もつのか」「他のバッグより寿命は長いのか」といった耐用年数に関する疑問を持つ方は少なくありません。
医療機器としてのモティバは、一般的なシリコンバッグとは異なる設計と技術的特長を備えており、その寿命にも一定の傾向と判断基準があります。
一般的に使用されるシリコンバッグの豊胸インプラントは、米国FDA(食品医薬品局)によって「10年程度を目安に交換を検討すべき」とされています。
FDAとは、医療機器や医薬品の安全性と有効性を審査・承認するアメリカの政府機関のことです。
この「10年」という基準は、インプラントの物理的劣化や、破損・ジェル漏れなどのリスクが年数とともに高まることを根拠にしています。
また、経年劣化だけでなく、被膜拘縮(ひまくこうしゅく)の発生や形状変化といった合併症の可能性も高まるため、定期的な検査と10年を一つの節目とする交換が推奨されています。
※被膜拘縮とは、インプラントの周囲に形成される被膜が硬く収縮し、胸の変形や痛みを引き起こす状態のことです。
モティバは、FDAに2024年に正式認可された比較的新しいインプラントであり、独自のTrueMonobloc構造やBluSealバリア層などの高機能設計により、耐久性に優れた製品とされています。
TrueMonobloc構造とは、バッグ全体が一体成形されている構造で、外圧への強度が高く破損しにくいという特徴があります。
BluSealとは、インプラント表面のバリア層に施された青色の安全シールで、外科医が挿入前にバッグの状態を視覚的に確認できる仕組みです。
これらの技術的特徴により、モティバの寿命は一般的なシリコンバッグよりも長い10〜15年を想定して設計されています。
さらに、使用状況や個人差によっては20年を超えて問題なく維持されているケースも報告されています。ただし、医療機器である以上、永続的に機能するものではなく、一定の期間での交換や再手術は必要です。
モティバインプラントの寿命には個人差があり、数年以内に破損や不具合が生じるケースもあれば、10年以上問題なく使用されるケースも存在します。
この差異は、挿入時の外科的技術、体内環境、術後の衝撃、生活習慣(スポーツや外傷の頻度など)など、さまざまな要因に左右されます。
たとえば、以下のような違いが影響します。
患者要因 | インプラントの寿命への影響 |
---|---|
高強度の運動習慣 | 外部からの圧力による破損リスク上昇 |
妊娠・授乳歴 | 胸の形状変化によりインプラントに負荷がかかる |
術後ケアの実施 | 定期検診や異常早期発見で寿命を延ばせる可能性 |
したがって、モティバであっても「挿入して終わり」ではなく、定期的な医師の診察やエコー検査を受けることが不可欠です。
もし胸に違和感や変形、硬さの増加、冷たさの感覚などが現れた場合は、除去や交換をすべき時期に入っている可能性があります。当院では他院で入れたシリコンバッグを入れ替えることも行っています。
昔のクリニックを忘れてしまった、潰れてしまった、遠すぎて行けない、執刀医がいなくなったといったことがありましたらお気軽に当院をセカンドオピニオンとしてご活用ください。