- 日本形成外科学会 認定専門医
- 日本美容外科学会(JSAPS) 正会員
- 2016年 スキンリファインクリニック吉祥寺院院長 勤務
- 2021年 東京美容外科 銀座院院長 勤務
- 2024年 GLAMRULE CLINIC 銀座院 院長
PDRN(ポリデオキシリボヌクレオチド)は、細胞の修復や再生を促す働きがあり、肌の赤みやクレーター、色素沈着といったニキビ跡の改善にも効果が期待される成分です。本記事では、PDRNの正体や具体的な効果、治療方法、副作用までをわかりやすく解説します。
PDRNとは「ポリデオキシリボヌクレオチド(Polydeoxyribonucleotide)」の略で、サーモン(鮭)の精巣から抽出されるDNA断片の一種です。
この成分は、細胞の再生や組織の修復を促す効果があり、再生医療の分野で長く利用されてきました。
ヒトの体内にも存在するヌクレオチドと非常に似た構造をしているため、アレルギーなどの副反応が起きにくく、安全性が高いことも特徴です。
PDRNは、皮膚の中に存在する線維芽細胞に働きかけて、コラーゲンやエラスチンの生成を促進します。これにより、肌のハリや弾力が回復し、小じわやたるみの改善が期待できます。細胞自体の修復力を高めることで、肌の質感やキメも整いやすくなります。
PDRNは血管内皮増殖因子(VEGF)と呼ばれる物質の分泌を促進する作用があります。これにより新しい血管が形成され、血流が改善されることで、肌全体の栄養供給や代謝が活発になります。結果として、肌のトーンが明るくなったり、ターンオーバーの正常化が促されるといった効果が期待されます。
炎症を抑える働きもPDRNの重要な作用のひとつです。サイトカインと呼ばれる炎症性物質のバランスを整えることで、ニキビや外的刺激による赤み・腫れなどを鎮静化する効果が見込まれます。また、施術後のダウンタイムの軽減にもつながります。
PDRNは皮膚の保湿力を高め、外的刺激から守るバリア機能の強化にも貢献します。水分保持能力が向上することで、乾燥肌や敏感肌の改善にも効果的です。潤いのある肌は、外的刺激に対して強くなるため、肌全体の健康をサポートします。
PDRNは、メラニンの生成を抑える作用や、血流改善による赤みの軽減効果が報告されています。ニキビ跡の赤みや炎症後色素沈着(PIH)に悩んでいる方にとって、有効な治療法のひとつとなっています。継続的な治療により、肌トーンの均一化や透明感のある肌を目指すことができます。
PDRNは、特に赤みが残るタイプのニキビ跡や、肌の凹凸が軽度なクレーター状の跡に対して効果があるとされています。細胞修復や炎症抑制、コラーゲン生成といった複合的な作用により、ニキビ跡の色調や質感を改善し、肌の滑らかさを取り戻す手助けをします。
PDRNは一般的に注射によって皮膚の真皮層に直接届けられます。
リジュランやサーモン注射といった名称で提供されており、細かく均等に注射することで、全体的な肌質改善が可能になります。
注射によってダイレクトに成分が届くため、外用クリームや美容液よりも高い効果が期待できます。
PDRN注射は、最初の数回を2〜4週間間隔で行い、その後はメンテナンスとして2〜3ヶ月に1回程度が推奨されます。
効果の実感には個人差がありますが、多くの場合、初回から数週間でハリや潤いの向上を感じられます。
効果の持続期間は2〜6ヶ月程度とされ、継続的な治療によってより安定した結果が得られます。
PDRNは比較的安全性の高い治療とされていますが、注射を伴うため、多少の副作用や注意点があります。施術直後には注射部位に赤み、腫れ、内出血などが見られることがありますが、通常は数日〜1週間程度で自然に改善します。
また、極めてまれではありますが、サーモン由来の成分に対するアレルギー反応が出る可能性があるため、施術前には医師による問診やパッチテストが行われることが推奨されます。敏感肌の方は、事前に肌状態をしっかり確認した上で治療を受けるようにしましょう。
治療後は一時的に肌が敏感になるため、紫外線対策や保湿を徹底し、刺激の強い化粧品や洗顔料の使用は避けることが大切です。医師の指導に従い、適切なアフターケアを行うことで、安全かつ効果的にPDRN治療を進めることができます。