- 日本形成外科学会 認定専門医
- 日本美容外科学会(JSAPS) 正会員
- 2016年 スキンリファインクリニック吉祥寺院院長 勤務
- 2021年 東京美容外科 銀座院院長 勤務
- 2024年 GLAMRULE CLINIC 銀座院 院長
PDRN(ポリデオキシリボヌクレオチド)は、肌の修復や再生を促す成分として注目を集め、美容医療やスキンケア製品に幅広く活用されています。
しかし一方で、PDRNは効果がない、効果を実感できなかったといった声も少なくありません。
なぜそのような評価の違いが生まれるのでしょうか? 本記事では、PDRNの作用メカニズムをはじめ、効果が出にくいとされる理由や、効果を最大限に引き出すためのポイントを解説します。
高濃度・高純度の製剤であればあるほど、その生理的効果は理論上高まります。
実際、濃度が高いほど細胞増殖や創傷治癒が促進されたという研究も存在します。
一方で、安価な製剤や化粧品に使われるものでは、PDRNの含有量がごくわずかな場合もあり、そのような製品では目に見える効果を実感しにくい傾向があります。
施術方法や注入の深さ、回数が適切でない場合も、効果が現れにくい理由の一つです。
PDRNを肌のどの層に、どれだけの量を、どれほどの頻度で注入するかという施術設計は、効果を左右する重要な要因です。
特に真皮層への適切なアプローチがなされていない場合、期待される再生作用が発揮されにくくなる可能性があります。
即効性があると誤解して施術を受けた場合、効果の出方が緩やかなPDRNでは期待と現実にギャップが生まれることがあります。
多くの研究では、PDRNの効果が数週間から数ヶ月かけて現れるとされており、劇的な変化をすぐに求める人にとっては効果がないと感じやすくなります。
長期的な肌質改善や炎症抑制が主な作用機序であるため、即効性は限定的です。
個々の肌状態もまた、結果に大きく影響します。
加齢や紫外線などにより肌のダメージが蓄積されている場合、PDRN単体では十分な修復が難しく、他の治療との併用が必要となることがあります。
特に深いシワやたるみなどはPDRNだけで改善するには限界があると考えられており、これは慢性的なダメージモデルでの研究結果からも一定の妥当性があります。
日常の生活習慣やスキンケアもPDRNの効果に間接的に影響を与える可能性があります。
例えば、喫煙や睡眠不足、紫外線によるダメージは肌の再生力を弱める要因として広く知られており、こうした状態ではPDRNの再生・修復作用が十分に発揮されにくくなることがあります。
ただし、これらがPDRNの効果を完全に相殺すると断定する研究は現時点では存在せず、効果を妨げる要因となり得ると理解するのが適切です。
PDRN製剤はすべて同じではなく、濃度・純度・分子サイズの違いによってその効果に大きな差が生まれます。高濃度のPDRNは細胞の増殖や血管新生を促進しやすく、肌の修復力をより高めるとされます。また、DNA断片が精製されておらず不純物が多いと炎症やアレルギーの原因になることもあるため、純度も重要な指標です。
さらに、分子サイズが大きすぎると肌に浸透しにくく、小さすぎても効果が持続しづらいとされています。これらのバランスが取れた製剤を選ぶことで、より高い美容効果が期待できます。
現在、美容医療の現場でよく使用されている代表的なPDRN製剤には以下のようなものがあります。
サケ由来のPN成分を高純度に精製した製剤で、韓国製。皮膚の再生・弾力向上・炎症軽減など幅広い効果が期待されています。
粘度が3段階で調整されており、目元や頬など部位ごとに最適な施術が可能。精製度の高いDNAを使用しているのが特徴です。
ヨーロッパ製の製剤で、PN・ヒアルロン酸・抗酸化成分を含む複合処方。エイジングケアや赤み改善に適しています。
施術目的に応じて、選ぶべきPDRN製剤のタイプも異なります。
目的 | 適したPDRN製剤の特徴 |
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肌のハリ・弾力アップ | 中~高濃度のPDRN製剤(例:リジュラン) |
目元など繊細な部位 | 粘度が低く注入しやすい製剤(例:HPビタラン ソフト) |
赤み・ニキビ跡の改善 | 抗炎症成分や再生因子を含む複合型(例:Pluryal Densify) |
乾燥・くすみの改善 | ヒアルロン酸や保湿成分配合のタイプ |
製剤の選定は医師の判断も重要ですが、事前に製品の特徴や実績を知っておくことで、納得のいく施術選びが可能になります。