- 日本形成外科学会 認定専門医
- 日本美容外科学会(JSAPS) 正会員
- 2016年 スキンリファインクリニック吉祥寺院院長 勤務
- 2021年 東京美容外科 銀座院院長 勤務
- 2024年 GLAMRULE CLINIC 銀座院 院長

豊胸手術で使用されるシリコンバッグと、特定の癌(BIA-ALCL)の関連性が世界的に報告され、不安を抱えている方が増えています。
インターネット上には不確かな情報が溢れていますが、重要なのは現在のバッグの種類と医学的なリスクを正しく理解することです。
本記事では、シリコンバッグに関連する癌の医学的事実と、不安を解消するための論理的な選択肢について解説します。
シリコンバッグ豊胸後に発生する可能性が指摘されているのは、乳癌ではなくブレスト・インプラント関連未分化大細胞型リンパ腫(BIA-ALCL)という血液の癌です。
これは非常に稀な疾患ではありますが、FDA(アメリカ食品医薬品局)や厚生労働省も注意喚起を行っており、決して無視できない医学的事実です。 まずは、どのような条件下でリスクが高まるのかを正しく理解する必要があります。
BIA-ALCLの発症リスクは、すべてのシリコンバッグで一律ではありません。
医学的にリスクが高いとされているのは、表面がザラザラした加工(テクスチャード加工)が施されたタイプのバッグです。
この表面加工が周囲の組織に慢性的な炎症を引き起こすことが、発症の要因の一つと考えられています。
ご自身が挿入しているバッグがテクスチャードタイプであるかどうかが、最初の判断基準となります。
BIA-ALCLの典型的な症状は、術後数年から数十年経過した後に、胸が急に腫れたり、しこりが触れたりすることです。
これは、バッグの周囲に液体(漿液)が溜まることや、被膜(カプセル)自体が腫瘍化することによって起こります。
痛みや皮膚の赤みを伴うこともありますが、無症状のまま進行するケースは稀であるとされています。
シリコンバッグによる癌のリスクを心配される際、まずは乳腺外科等で癌検診(エコーやMRI)を受けることは決して間違いではありません。
しかし、検診で現時点で異常なしと診断されたとしても、体内にテクスチャードタイプのバッグが存在する限り、将来的なリスクがゼロになるわけではありません。
現在の癌の有無を確認することと、将来のリスク源を断つことは、目的が異なる医療行為です。
他院の癌検診で異常なしと言われた場合でも、美容外科医の観点からは、特にテクスチャードバッグの抜去または入れ替えを推奨するケースがあります。
これは過剰な不安を煽るものではなく、BIA-ALCLの発生母地となる組織の特性に基づいた判断です。
検査で大丈夫だったから、このままで良いという判断には、医学的な落とし穴が存在します。
画像診断はあくまでその時点での状態を映し出すものであり、将来の安全を保証するものではありません。
特にBIA-ALCLは、バッグを包む被膜(カプセル)やその内側の液体に関連して発生します。物理的な刺激源であるバッグと、炎症の場となる被膜が残存している限り、根本的なリスク回避にはならないのです。
エコーやMRIは非常に有用な検査ですが、初期の被膜の微細な変化や、ごく少量の液体の貯留までは完全に捉えきれない場合があります。
画像上は問題ないという診断は、目に見える大きな異常はないという意味であり、安全であるという証明ではありません。
BIA-ALCLへの不安を完全に払拭する唯一の方法は、原因物質であるシリコンバッグを取り除くことです。
特に、予防的な意味合いで抜去を行う場合、単にバッグを抜くだけでは不十分です。 リスクの温床となり得る被膜(カプセル)も含めて、確実に除去することが医学的に理にかなった解決策となります。
シリコンバッグの抜去において、最も重要なのはどこまで綺麗に取り除くかという点です。
一般的なクリニックでは、傷跡を小さくするために小さな切開創から手探りでバッグを引き抜く方法がとられることがありますが、これにはリスクが伴います。
当院では、癌への不安や感染リスクを最小限に抑えるため、完全直視下法を採用しています。
BIA-ALCLのリスクを考慮した場合、バッグ本体だけでなく、周囲に形成された被膜(カプセル)を完全に除去することが重要です。
被膜は炎症の記録であり、病変が発生する場所そのものだからです。
当院の直視下法では、切開創から直接患部を目視し、癒着した被膜を一枚の膜として丁寧に剥離・除去(カプセレクトミー)します。
これにより、体内に異物やリスク因子を残さない、徹底した処置が可能となります。
古いシリコンバッグは、体内で劣化し、ボロボロになっていたり、中身のジェルが漏れ出していることがあります。
直視下ではない処置(手探りの処置)では、これらの漏れ出したジェルを見逃し、除去後の空間に残してしまう危険性があります。
目で見て確認する当院の手法であれば、漏れ出したジェルや石灰化した組織も確実に洗浄・除去することが可能です。
| 比較項目 | 一般的なクリニック (他院の治療) | 当院 (当院の治療) |
|---|---|---|
| 被膜の処理 | 一部残存リスク 手探りの処置のため、被膜が体内に残る可能性が高く、リスクの温床になりやすい。 | おすすめの理由 完全除去
目で見て確認しながら、癒着した被膜を丁寧に剥離・除去(カプセレクトミー)します。 |
| 事前検査 | コスト・手間増 術前にエコーやMRIが必須となり、費用と来院回数が増加する。診断も不確実な場合がある。 | 合理的 不要(直視下)
直接開いて確認するため、事前の画像検査は不要。費用と時間を節約できます。 |
| 安全性の確保 | 不確実 直視下ではない処置のため、破損したジェルの漏れを見逃す可能性がある。 | 確実性 目視確認
万が一バッグが破損していても、漏れ出したジェルを確実に洗浄・除去可能です。 |
不安を抱えたまま日々を過ごすよりも、確実な処置でリスクを取り除くことが、精神的な安定と健康につながります。まずは一度、ご相談ください。