- 日本形成外科学会 認定専門医
- 日本美容外科学会(JSAPS) 正会員
- 2016年 スキンリファインクリニック吉祥寺院院長 勤務
- 2021年 東京美容外科 銀座院院長 勤務
- 2024年 GLAMRULE CLINIC 銀座院 院長

豊胸手術後に胸の奥から聞こえるチャプチャプという水音や、動くたびに感じるキュッキュッという摩擦音。
日常のふとした瞬間に音が鳴り、周囲に聞こえていないか、体内で何が起きているのかと強い不安を感じているはずです。
この音はバッグと組織の間に生じた隙間や液体の貯留、あるいは破損の予兆である可能性が高く、放置しても自然に消えることはほとんどありません。
ここでは音が鳴る医学的な原因と、将来的なリスクを回避するための正しい対処法について解説します。
シリコンバッグ挿入後に発生する異音には、大きく分けて2つのパターンが存在します。
それぞれ発生メカニズムが異なり、体内で起きている現象を示唆する重要なサインとなります。音の種類によって疑われる状態を医学的観点から解説します。
動いたときや走ったときに胸の中で水が跳ねるような音がする場合、バッグとそれを包む被膜(カプセル)の間に隙間が生じている可能性があります。
医学的にはAir fluid level(気液面)と呼ばれる現象などが関係しており、本来密着しているはずのバッグと組織の間に、浸出液や空気が入り込んでいる状態です。
術後早期であれば時間の経過とともに吸収されることもありますが、長期間続く場合は慢性的な漿液腫(セローマ)や、被膜がバッグよりも大きく緩んでしまっているケースが疑われます。
この隙間があることで、体液が動き、不快な水音として知覚されます。
体を捻ったり腕を動かしたりした際に、ゴムが擦れるようなきしみ音がする場合、バッグ表面と被膜の摩擦が強くなっていることが考えられます。
これは被膜拘縮(カプセル拘縮)が進行し、バッグを締め付け始めている初期段階で見られることがあります。
また、テクスチャードタイプ(表面がザラザラしたバッグ)の場合、組織との癒着が剥がれたり、部分的な摩擦が生じたりすることで音が発生することもあります。
さらに深刻なケースとして、シリコンバッグ自体が破損し、内容物が漏れ出して組織と擦れ合っている可能性も否定できません。
音自体は痛みや発熱を伴わないことも多いため、様子を見てしまう方が少なくありません。
しかし、異音が続くということは、バッグが体内で正常な状態で安定していない証拠です。
長期間放置すると、持続的な摩擦による炎症反応が慢性化し、被膜が分厚く硬くなる拘縮が悪化するリスクがあります。
また、浸出液が溜まり続けている場合、そこが細菌感染の温床となり、遅発性の感染症を引き起こす可能性もあります。
違和感を覚えた時点で、何らかの医学的介入を検討すべき段階に来ていると言えます。
一度発生した胸の異音は、マッサージや市販薬などのセルフケアで改善することは極めて困難です。
なぜなら、音の原因が物理的な構造の変化(隙間や破損、異物反応)にあるからです。 ここでは、なぜ保存療法(手術以外の方法)では解決しないのかを解説します。
抗生剤や抗炎症薬を服用しても、一時的に炎症を抑えることはできても、バッグと被膜の間にできた物理的な空間(隙間)を埋めることはできません。
水音がする場合、そこに液体が溜まるだけのスペースが存在し続けていることが根本的な問題です。
薬で液体を散らそうとしても、そのスペースが存在する限り、再び体液が貯留し、音が再発するリスクが高い状態が続きます。構造上の問題には、外科的なアプローチが必要です。
水音の原因が液体の貯留である場合、注射器で水を抜くという処置が提案されることがあります。
しかし、シリコンバッグが入っている状態で針を刺す行為は、直視下ではない処置(手探りの処置)となり、非常に高いリスクを伴います。
誤ってバッグを突き刺して破損させてしまったり、針穴から細菌が入り込み感染を引き起こしたりする危険性があります。
一時的に音が消えたとしても、原因である被膜やバッグが残っている限り、再発を繰り返すことになります。
異音の悩みを解消し、将来的な不安を取り除くためには、原因となっているシリコンバッグと、異常をきたした周辺組織を適切に処理する必要があります。
当院が推奨する根本的な解決を目指す治療について説明します。
| 比較項目 | 一般的なクリニック (他院の治療) | 当院 (当院の治療) |
|---|---|---|
| 治療方針 | リスクあり バッグの抜去のみを行い、被膜は体内に残すことが多い。音が再発するリスクが残る。 | おすすめの理由 根本解決
バッグ除去と同時に、原因となる被膜も全摘出(カプセレクトミー)する。 |
| 検査体制 | 時間と費用がかかる 術前にエコーやMRI検査を必須とし、画像診断に頼る。検査費用が別途発生する。 | 合理的 直視下で確実
切開して直接患部を見るため、術前の高額な画像検査を省略し、費用と負担を軽減。 |
| 処置の確実性 | 不確実 癒着が強い場合、取り残しや出血のリスクがある。手探りの処置になることも。 | 高度な技術 安全性を重視
完全直視下法により、癒着を丁寧に剥離。血管や神経を守りながら確実に除去。 |
異音の原因がバッグと被膜の間のトラブルにある場合、単にシリコンバッグを抜き取るだけでは解決しないことがあります。
バッグを抜いた後に残された被膜(カプセル)が体内に留まると、そこに再び浸出液が溜まり、漿液種(セローマ)を形成して水音が続くことがあります。
また、石灰化したり硬くなったりした被膜は自然に吸収されないため、胸の違和感や硬さが残り続ける原因となります。
当院では、音の原因を完全に断つために、バッグだけでなく被膜も一緒に取り除くカプセレクトミー(被膜全摘出術)を推奨しています。
被膜を取り除くことで、液体の貯留スペース(除去後の空間)そのものをなくし、異音の再発や感染のリスクを最小限に抑えることができます。
特に、破損や強い石灰化が見られる場合、被膜にはシリコンの微粒子やカルシウムが付着しているため、これらを体内に残さないことが重要です。
当院は、トラブルを抱えた豊胸修正において、徹底した安全管理と確実な除去技術を提供しています。
検査に依存せず、医師の目と技術で直接確認するスタイルを貫いています。
当院では、あえて事前のエコーやMRI検査を行っておりません。
理由は、切開して直接患部を目で見て洗浄(直視下法)するため画像診断に頼る必要がないからです。
画像診断はあくまで影絵のようなものであり、実際に切開してみなければ分からない癒着の程度や液体の性状も多く存在します。
画像で推測するよりも、手術中に直接目で見て確認し、その場で適切な処置を行う方が確実であり、患者様の検査費用と時間の負担も大幅に軽減できると考えています。
これは検査を軽視しているのではなく、直視下法の確実性が高いゆえの合理的な判断です。
長期間挿入されていたシリコンバッグの周囲には、強固な被膜が形成され、肋骨や大胸筋といった重要な組織と癒着していることが一般的です。
この癒着を無理に剥がそうとすると大出血や気胸といった事故につながりかねません。
当院の医師は、高度な剥離技術を用いて、血管や神経を傷つけないようミリ単位で丁寧に被膜を組織から切り離していきます。
この繊細な作業こそが、術後の痛みや腫れを抑え、見た目の美しさを維持するための鍵となります。