- 日本形成外科学会 認定専門医
- 日本美容外科学会(JSAPS) 正会員
- 2016年 スキンリファインクリニック吉祥寺院院長 勤務
- 2021年 東京美容外科 銀座院院長 勤務
- 2024年 GLAMRULE CLINIC 銀座院 院長
脂肪豊胸を検討する際に気になる「脂肪壊死」。
せっかくの豊胸手術で「しこりができた」「痛みや変形が残った」などのトラブルは避けたいものです。
特に脂肪注入による豊胸では、技術や体質によって定着率やリスクが大きく変わります。また、脂肪豊胸とシリコンバッグ豊胸、どちらが自分にとって安全なのか迷う方も多いはずです。
この記事では、脂肪壊死の原因と仕組み、体への影響、予防方法、そして脂肪豊胸とシリコンバッグの安全性の違いについて解説していきます。
脂肪壊死とは、脂肪注入後に一部の脂肪細胞が酸素や栄養を受け取れずに死んでしまう現象です。
生着できなかった脂肪が体内で異物として反応され、しこりやオイルシスト(液状化脂肪の袋)、さらには石灰化が進行することもあります。これらは時間経過とともに膜で覆われ、硬いしこりとして触れるようになります。
片胸150〜200ccが目安
脂肪の注入量が多すぎると、脂肪細胞同士が圧迫し合い、血液の循環が妨げられます。一般的には片胸150〜200ccを超えると脂肪壊死のリスクが高まるとされており、過剰注入は慎重に避けるべきです。
脂肪を大きな塊として注入すると、中心部まで血流が届かず、内部が壊死してしまいます。その結果、中心が液化し、周囲が硬くなることで「しこり」が形成されやすくなります。均一かつ分散された注入が重要です。
採取した脂肪の中に老化細胞や血液、麻酔液などの不純物が含まれていると、生着率が下がるだけでなく、炎症やしこりの原因にもなります。脂肪の精製過程が非常に重要です。
脂肪壊死による”しこり”は基本的に良性で、悪性化することはありません。しかし、マンモグラフィやエコー検査で乳がんとの鑑別が難しくなる場合があり、定期検診で混乱を招く恐れがあります。
脂肪壊死が進行すると石灰化や瘢痕化が生じ、触ると硬く痛みを伴う場合があります。また、皮膚表面に凹凸が出ることで、見た目にも不自然さが生じることがあります。
壊死した脂肪組織に細菌が繁殖すると、感染を引き起こすリスクがあります。痛みや腫れ、発熱などの兆候があれば、早急に専門医の診察を受けることが重要です。
脂肪吸引した脂肪をを特殊な機材を使用した遠心分離することに純度の高い脂肪に処理する「コンデンスリッチ法」などを採用しているクリニックでは、脂肪壊死のリスクが軽減されます。安価な脂肪豊胸ではこの処理が不十分なこともあるため、注意が必要です。
脂肪を細く分散して層ごとに注入する技術(マルチプルインジェクション法やヌードル注入)を用いることで、脂肪細胞の血流確保がしやすくなり、生着率が高まります。
形成外科専門医や日本美容外科学会(JSAPS)正会員が在籍し、症例数や実績が豊富なクリニックは、脂肪壊死の予防技術にも長けています。カウンセリング時に医師の経歴や症例写真を確認しましょう。
※当院では形成外科専門医、JSAPS正会員の女性院長がカウンセリングから執刀、術後のサポートまで一貫しておこないます。
脂肪豊胸では脂肪壊死やしこり、シリコンバッグ豊胸ではカプセル拘縮や感染など、それぞれに特有のリスクがあります。どちらが安全とは一概に言えず、リスクを十分に理解した上で選択することが大切です。
脂肪豊胸は脂肪吸引を伴うため、胸以外の部位にも大きなダメージとダウンタイムが発生します。腫れや内出血、痛みが数週間続くケースもあり、体全体への負担は軽視できません。一方、シリコンバッグは施術時間が短く、局所的なダウンタイムで済むため、回復は比較的早い傾向にあります。
脂肪豊胸は自己組織を使用するため異物によるトラブルは起こりにくい一方、生着率は30〜50%とされており、長期的に満足のいくボリュームが保てるとは限りません。また、脂肪壊死やしこり、左右差などの美容的リスクもあります。
シリコンバッグは10〜15年ごとの入れ替えが推奨されますが、異常がなければ継続使用も可能です(もちろん経過観察は必要)。長期的な管理のしやすく、固形物のため抜去しやすいのでトラブルが生じた際に取り除くのがスムーズな点が有利とえいます。
体型 | 脂肪豊胸の適応 |
---|---|
痩せ型 | × 十分な脂肪が取れないことが多くリスク高 |
標準〜ぽっちゃり型 | ◎ 自然な見た目と部分痩せが期待できる |
体型 | シリコンバッグの適応 |
---|---|
痩せ型 | ◎ サイズ調整が可能で仕上がりが安定 |
標準〜ぽっちゃり型 | ◎ バッグの違和感が出にくい |
体型 | 安全性のポイント |
---|---|
痩せ型 | バッグの方が合併症リスクが少ない傾向 |
標準〜ぽっちゃり型 | 脂肪吸引による凹凸、感染のリスクは変わらず |
施術法の選択は、体型だけでなく、「仕上がりの希望」「リスクへの許容度」「術後管理への理解」など複合的な判断が必要です。迷った場合は、両手法に精通した医師に中立的な意見を聞くことをおすすめします。