- 日本形成外科学会 認定専門医
- 日本美容外科学会(JSAPS) 正会員
- 2016年 スキンリファインクリニック吉祥寺院院長 勤務
- 2021年 東京美容外科 銀座院院長 勤務
- 2024年 GLAMRULE CLINIC 銀座院 院長
「シリコン豊胸をしても、母乳ってちゃんと出るの?」
将来の妊娠や授乳を考えている女性にとって、豊胸手術の影響は気になるポイントの一つです。
実際、手術の術式やバッグの位置によって、授乳への影響が変わる可能性はありますが、適切に手術が行われれば多くの方が問題なく母乳育児を行っています。この記事では、シリコン豊胸と母乳の関係について、わかりやすく解説します。
乳輪切開は、乳腺や乳管に近い部位を切開するため、授乳に必要な組織を損傷する可能性があります。
これにより母乳の通り道が狭くなったり、分泌機能に影響が出ることがあります。ただし、現在の研究では「明確に授乳障害と関連する」という決定的な証拠はなく、「リスクがやや高くなる傾向がある」とされています。
皮下挿入ではシリコンバッグが乳腺に近いため、圧迫により母乳の分泌や流れに影響を与える可能性があります。
一方、筋下挿入はバッグが乳腺から離れた位置に置かれるため、授乳機能への影響が比較的少ないと考えられています。授乳を希望する場合は、筋下挿入が推奨されることが多いです。
乳腺や乳管を傷つけない術式を選べば、シリコン豊胸後でも授乳は可能です。
多くの女性が実際に豊胸後に母乳育児を行っており、術者の技術と術式選びが成功の鍵となります。妊娠・授乳を視野に入れている場合は、施術前に授乳希望を伝えたうえで適切な方法を相談しましょう。
シリコン豊胸後、一部の人で母乳分泌量が少なくなるケースがあります。これは、乳腺や神経の損傷、被膜拘縮などが原因で授乳機能に影響するためです。必ずしも全員に影響があるわけではありませんが、事前にリスクを把握しておくことが大切です。
完全母乳で育てられる割合は、豊胸をしていない人よりも約4割少ないという研究結果があります。特に乳輪を切開した人や、皮下にバッグを入れた人にその傾向が強いとされています。
術後に発生する被膜拘縮や癒着は、乳腺や乳管を圧迫し、母乳の分泌に影響を与えることがあります。このような状態では、乳管が狭くなり、母乳がうまく流れにくくなることがあります。定期的な診察と術後ケアが重要です。
手術の影響で乳管が一時的に詰まり、出産直後の授乳開始が難しくなるケースもあります。分泌量がすぐには安定しないこともあるため、ミルクとの併用や搾乳で対応することも検討されます。事前に授乳の計画を立てておくと安心です。
複数の研究において、シリコンバッグを挿入した母親の母乳からシリコン成分が検出されたという報告はなく、母乳を通じて赤ちゃんに影響が及ぶ可能性は極めて低いとされています。バッグ構造が成分の漏出を防ぐ設計になっているためです。
シリコン豊胸と赤ちゃんの健康被害との因果関係を示すデータは現在のところ存在していません。大規模な疫学調査や公的機関の見解でも、授乳による赤ちゃんへの悪影響は報告されていないとされています。
アメリカFDAやCDCは、シリコン豊胸と授乳との関係について「明確な問題は見られない」との見解を公表しています。これにより、医療現場でも授乳希望者に対する適切な情報提供と支援がなされており、実際に多くの母親が豊胸後も安心して授乳を行っています。
授乳中に乳腺炎が起こっても、シリコンバッグへの直接的な影響はほとんどありません。バッグは乳腺より深い位置に挿入されるため、炎症がバッグに波及するケースは非常にまれです。ただし、高熱や膿がある場合には早期対応が必要です。
乳腺炎や感染症がバッグまで広がることは非常に稀であり、通常の炎症でバッグが破損することはまずありません。破損リスクが高くなるのは、術後間もない感染や外傷による強い圧力が加わったときに限られます。
正しい方法での乳房マッサージや温罨法などは、乳腺炎や乳管閉塞の予防に役立ちます。特に授乳初期は、助産師や母乳ケア専門家と連携してトラブルを未然に防ぐことが大切です。過度な圧迫を避けたやさしいケアが推奨されます。
授乳中に異常を感じた場合は、自己判断せずに専門医に相談することが重要です。乳腺外科や形成外科に早めに受診することで、症状の悪化を防ぎ、バッグや授乳機能への影響を最小限に抑えることができます。
将来の妊娠や授乳を希望する方は、術式と手術のタイミングをよく検討する必要があります。乳腺を傷つけにくい術式や妊娠前のタイミングでの手術が理想的です。授乳への影響を減らすためにも、クリニックでのカウンセリングが重要です。
妊娠を見越して施術する場合、乳腺を避ける筋下挿入や腋窩切開などを選ぶことで、授乳への影響を軽減できます。術後の経過や将来的な変化も考慮し、妊娠前の計画的な選択が重要です。
授乳機能を保ちたい方は、乳輪周囲の切開は慎重に検討すべきです。乳管が集中している部位であるため、損傷による母乳の通過障害が起きやすいとされています。他の切開部位との比較をもとに、医師と相談しましょう。
シリコンバッグの寿命は約10年とされ、それ以降は破損や被膜拘縮のリスクが高まります。妊娠を予定している場合、バッグの交換や抜去を考慮することで、より安心して育児に臨むことができます。