- 日本形成外科学会 認定専門医
- 日本美容外科学会(JSAPS) 正会員
- 2016年 スキンリファインクリニック吉祥寺院院長 勤務
- 2021年 東京美容外科 銀座院院長 勤務
- 2024年 GLAMRULE CLINIC 銀座院 院長
アクアフィリングは、かつて「切らずにできる豊胸法」として注目されました。
しかし近年、その安全性や長期的なリスクが世界中で問題視されています。ジェルの移動やしこり、炎症、さらには除去の難しさなど、後から後悔する声も少なくありません。
本記事では、アクアフィリングの基本情報から、医学的に指摘されているリスク、実際の除去方法と流れ、そして安全性を重視した代替手段までわかりやすく解説します。
アクアフィリングは、98%が水分、残りの約2%がポリアミド(アクリルアミド系化合物)で構成された充填剤です。
主にバストのボリュームアップを目的に開発され、注射器を用いて乳腺や大胸筋の周囲に注入します。施術は比較的短時間で、傷跡も小さいことから、かつては「手軽にできる豊胸法」として広まりました。
ヒアルロン酸は体内で自然に分解される一方、アクアフィリングは長期間残留する性質があります。
このため持続性は高い反面、異物反応や長期的な合併症のリスクが指摘されています。質感はヒアルロン酸と比較してやや硬めになることもあります。
アクアフィリングに使用されるポリアミド素材の原料にはアクリルアミドが含まれる可能性があり、この化学物質は「ヒトに対しておそらく発がん性がある」とされ、IARCの発がん性分類ではグループ2Aに位置づけられています。
さらに、欧州ではアクリルアミドは発がん性や変異原性を持つ物質として分類され、欧州化学機関(ECHA)の「極めて懸念される物質」のリストにも含まれています。
農林水産省によると、アクリルアミドは神経毒性があり、職業的な高濃度暴露によって中枢神経や末梢神経に障害を引き起こすことが確認されています。
症状としては感覚麻痺、筋力低下、歩行異常などが報告されています。一方で、食品中の微量のアクリルアミド摂取と発がんの関係を示す疫学的証拠は現時点では十分ではないとされています。
動物実験では、高用量のアクリルアミド投与により発がん性が示されており、IARCはこの理由により2A分類としています。
しかし、ヒトにおける食事を通じたアクリルアミド摂取とがん発症の関連性については、疫学研究において明確な因果関係は確認されておらず、現時点では「不十分な証拠」にとどまっているという評価です。
ただし、アクアフィリングの場合、アクリルアミド由来の物質を直接体内に注入し、長期間残すため、食品から一時的に摂取する場合とは状況が大きく異なります。
長く体内に留まることでどのような影響が出るかはまだはっきりわかっていないため、「安全」とは言い切れないのが現状です。
アクアフィリングは、注入後に周囲の組織に広がって癒着し、小さな粒状に散らばることがよくあります。この状態では、1回の手術で完全に除去するのは難しく、一部が残ることで再び炎症やしこりが起きることがあります。
また、注入後時間が経過してコラーゲンによる被膜が形成されると、吸引や洗浄だけでは除去しにくくなる点も問題です。
まず、エコーやMRIでジェルの位置や広がりを詳しく調べます。
手術では乳房の下や脇を切開し、生理食塩水を使ってジェルを柔らかくしながら吸引し、できる限り洗い流します。ただし、広範囲に拡散している場合は複数回の手術が必要になることもあります。
除去後は、バストの形が崩れたり、左右差や皮膚のたるみが目立つこともあります。また、傷跡や感染、術後の腫れ・内出血といったリスクも伴うため、術後のケアがとても大切です。
除去によって失われたボリュームや形を整えるために、再豊胸や脂肪注入などの修正手術が検討されます。
術後は数か月から数年にわたり経過を観察し、しこりや再発の有無をチェックします。経験豊富な医師に相談することで、除去後の仕上がりや再建方法についてもより安心して計画を立てられます。
自分の太ももやお腹などから脂肪を吸引し、加工したうえで胸に注入する方法です。
異物を使わないためアレルギー反応が起こりにくく、柔らかく自然な触感に仕上がります。脂肪を取った部分は同時に引き締まり、痩身効果も期待できます。
近年の研究では、乳房再建後の脂肪注入が乳がん再発を促す証拠はないと報告されており、安全性の面でも評価されています。ただし、脂肪が完全に定着しない場合があり、しこりや石灰化が生じることもあります。
医療用シリコン製のバッグを胸の中に入れてボリュームを出す方法です。
サイズや形、表面の加工など選択肢が豊富で、理想のデザインに近づけやすいのが特徴です。歴史のある豊胸術で、長期間にわたり形が安定しやすいというメリットがあります。
挿入には全身麻酔を伴う手術が必要で、傷跡やカプセル拘縮と呼ばれる硬化のリスクがあります。
シリコンバッグで基本のボリュームを確保し、表面やデコルテ部分には脂肪を注入して自然な質感を加える方法です。
大きさと柔らかさを両立できるため、特に「しっかりしたサイズ感と自然さの両方を求める人」に向いています。ただし、二つの施術を組み合わせる分、手術の工程や術後管理がやや複雑になります。
この段階で確認する項目:
お薬手帳を持参すると、抗生剤や痛み止めの選択がスムーズです。気になることは全て伝えてください。
決定する内容: