- 日本形成外科学会 認定専門医
- 日本美容外科学会(JSAPS) 正会員
- 2016年 スキンリファインクリニック吉祥寺院院長 勤務
- 2021年 東京美容外科 銀座院院長 勤務
- 2024年 GLAMRULE CLINIC 銀座院 院長
豊胸手術に興味はあるものの、「できるだけダウンタイムが少ない方法を選びたい」と考える方は少なくありません。
特に仕事や家庭との両立を重視する方にとって、術後の生活への影響は重要な判断材料になります。
本記事では、安全性とダウンタイムの少なさに焦点をあて、医師の視点から現実的に選ぶべき豊胸術を解説します。
華やかな広告だけでは分からない、術式ごとの回復期間や体への負担の違いを、冷静かつ具体的にお伝えします。
シリコンバッグ豊胸とは、医療用のシリコン製インプラントを胸に挿入し、バストのボリュームを増す施術のことです。
切開部位には脇下、乳房下縁、乳輪周囲などがありますが、特に脇下・乳下切開はダウンタイムの短さにおいて優位です。
この術式の最大の特徴は、痛みや腫れの部位が胸部のみに限られることです。
脂肪吸引を伴わないため、全身的な負担が少なく、デスクワークなど軽作業であれば数日から1週間程度で復帰可能とされます。手術時間も90分前後と比較的短く、出血や腫れも管理しやすいため、術後の回復がスムーズです。
また、バッグの種類(ラウンド型・アナトミカル型など)や挿入位置(乳腺下、大胸筋下、筋膜下)を適切に選ぶことで、より自然な仕上がりと長期的な安定性が期待できます。
このように、安全性と見た目のバランスを高いレベルで両立できる点が評価されます。
脂肪注入豊胸とは、自分の体から採取した脂肪を胸に注入することで、自然なバストアップを目指す施術です。
特にコンデンスリッチ脂肪注入では、採取した脂肪を遠心分離し、不純物を取り除いた濃縮脂肪を使用します。
仕上がりの自然さや触感の柔らかさにおいては評価が高いものの、脂肪吸引を伴う点が最大のデメリットです。
吸引部位(多くは太ももやお腹)は、術後2〜3週間にわたって強い腫れや内出血、筋肉痛のような痛みが続くことが多く、歩行や階段の昇り降りといった日常の動作にも支障が出ることがあります。
また、患部を圧迫する専用のガーメント(圧迫下着)の着用が必要となり、身体的にも精神的にもストレスを感じやすい期間が続きます。
脂肪注入豊胸のダウンタイムは、バストではなく吸引部に集中し、その影響が大きいことを理解しておく必要があります。
手術時間が長ければ長いほど、出血量や麻酔による身体への影響が大きくなります。
たとえば、シリコンバッグ豊胸は90分前後で終了するのに対し、脂肪注入豊胸は吸引と注入を含めて3〜4時間かかることが一般的です。
また、静脈麻酔や全身麻酔を使用するかによっても回復スピードは変わります。
麻酔の種類によっては術後の倦怠感や吐き気が出る場合があるため、手術計画の段階で慎重に検討する必要があります。
ダウンタイムに直結するのが、術後の痛みと内出血です。
特に脂肪吸引を伴う施術では、吸引部に広範囲な内出血や強い筋肉痛が出現するため、術後数日は歩行や日常動作にも制限が出ることがあります。
一方、シリコンバッグ豊胸では胸部の痛みが中心で、吸引を伴わない分、全身的なダメージが少ないです。痛み止めの効きやすさや、生活への支障の度合いを事前に理解しておくことが重要です。
社会復帰までの期間は、施術の種類によって大きく異なります。
脂肪注入では、吸引部の腫れが完全に引くまで2〜3週間かかることもあり、日常生活に復帰するまでに時間が必要です。
これに対してシリコンバッグ豊胸は、術後の安静が必要なのは主に最初の1週間程度であり、術後管理を適切に行えば比較的早期の社会復帰が可能です。
特に仕事の復帰時期を重視する場合には、この点が施術選択の大きな判断材料になります。