- 日本形成外科学会 認定専門医
- 日本美容外科学会(JSAPS) 正会員
- 2016年 スキンリファインクリニック吉祥寺院院長 勤務
- 2021年 東京美容外科 銀座院院長 勤務
- 2024年 GLAMRULE CLINIC 銀座院 院長
豊胸バッグを除去した後、思っていたよりもバストが小さくなった、皮膚がたるんでしまった、見た目や感触に違和感がある――こうした「後悔」の声は少なくありません。
本記事では、豊胸バッグを抜去したあとに起こりやすい見た目や感触の変化、精神的なギャップに加え、それを補うための医学的な選択肢について詳しく解説します。
豊胸バッグを抜去した後、失われたボリュームは自然には戻りません。バッグとは人工的に膨らませていた構造であり、除去後に同じ形を取り戻すことは不可能です。
見た目の変化に後悔を抱かれた場合、自分で元のバストに戻すことはできず、補助的な施術を検討すべきです。このようなケースでは、脂肪注入や再挿入による補填が必要です。
バッグ除去により、長期間伸ばされていた皮膚の弾力性が低下してたるみが出る場合があります。弾力性とは、皮膚がもとの形状に戻る性質のことです。
特に、皮膚が薄い場合や拘縮(こうしゅく=被膜が硬くなる状態)が強い場合には、除去後に凹みや皮膚の余剰が目立ちます。
このような場合には、脂肪注入でハリを回復させるか、必要に応じてリフト(皮膚切除)を併用するべきです。
豊胸バッグの感触と比較して、「柔らかさ」や「自然さ」が失われたと感じる方は少なくありません。バッグとは異なり、脂肪注入による再形成は自然な柔らかさを優先した構造に整える方法です。
ただし、注入量が不足すると期待したサイズに届かず、理想に満たない感覚に終わることがあります。脂肪注入だけでバッグと同じサイズを再現することは難しいことが多いため、複数回の治療やハイブリッド法を検討すべきです。
抜去後、見た目の変化によって精神的な落差を感じることがあります。
これは予想よりもバストが萎んだ印象を受けることで起こる心理的ギャップです。このようなギャップは自己肯定感の低下につながる可能性があるため、感情面も含めたサポートと方針提示が必要です。
脂肪注入とは、自分の体から採取した脂肪を注入してバストを再構成する方法です。自然な柔らかさとフォルムを重視する場合に適しています。
バッグ除去と同時に脂肪注入を行うことで、空洞を確認して注入でき、しこり・脂肪壊死のリスクを抑えることができます。またボリュームを失ったまま過ごすストレスも避けられます。
ただし、1回でバッグ相当のボリュームを再現するのは難しいため、複数回注入やハイブリッド法(脂肪+バッグ)を検討すべきです。
シリコンバッグを再挿入する選択肢もあります。これは、除去後に以前の大きさや形を維持したい方に向いています。バッグ挿入とは、再度シリコン素材のインプラントを胸内に収める方法です。
ただし、異物反応や被膜拘縮(カプセル拘縮)が再発する可能性があるため、リスクと寿命を理解したうえで判断すべきです。再挿入は、被膜の状態や癒着の程度を把握し、必要であれば被膜除去を併用するべきです。
抜去後の皮膚には、ハリが戻るためのセルフケアが重要です。皮膚の弾力性とは、皮膚が元の状態に戻る力のことで、年齢や手術歴で低下している場合があります。
セルフケアには、軽い胸部ストレッチや保湿、栄養管理などがあります。特に乾燥を防ぎ、血行を促すことが重要です。症状が強い場合は、リフト施術を医師と相談すべきです。
セルフケアだけで改善が難しい場合には、医師と相談のうえ補助施術を早めに検討するべきです。
脂肪注入を選ぶ場合、同時施術が可能ならば抜去と同日に行うことが推奨されます。空洞の確認と皮膚の伸びがあるタイミングで注入することが安全で自然な仕上がりにつながります。
一方、被膜拘縮や炎症が強い場合は、除去後に数ヶ月待って組織が安定してから脂肪注入を行うべきです。このタイミングを誤ると、皮膚癒着により形が崩れる可能性があります。