- 日本形成外科学会 認定専門医
- 日本美容外科学会(JSAPS) 正会員
- 2016年 スキンリファインクリニック吉祥寺院院長 勤務
- 2021年 東京美容外科 銀座院院長 勤務
- 2024年 GLAMRULE CLINIC 銀座院 院長
シリコンバッグの除去を検討している方にとって、術後のダウンタイムは最も気になるポイントの一つです。
腫れや痛みはどの程度続くのか、日常生活にいつ戻れるのか、仕事への影響はあるのか、こうした不安を解消するには、術後に起こり得る症状の経過や回復までの期間を正しく把握することが重要です。
本記事では、シリコンバッグ除去後に現れる代表的な症状とその持続期間、安定までにかかる時間、日常生活への復帰目安を段階的に解説します。
除去手術後には、術後3日間が腫れ・むくみのピークとなりやすく、その後1〜2週間程度で大部分の腫れ・むくみは収まります。
※個人差があります
腫れや体内の液体貯留を最小限に抑えるためには、術後の処置として圧迫固定を行う必要があります。圧迫固定とは、術後に専用バンドなどで胸部を締め付ける処置のことで、水腫(液体貯留)とは、体内に血液やリンパ液が溜まる状態を指します。
これを防ぐために、圧迫固定は術後約1週間継続すべきです。
内出血は術後直後に発生しやすく、通常1〜2週間以内に徐々に吸収されて消えていきます。個別の状況によっては色が濃く見える期間が続くこともありますが、2週間を過ぎても改善がない場合は医師に相談しましょう。
この期間は過度なマッサージや刺激を避け、安静と適切なケアを継続すべきです。
筋肉や皮膚が手術によって刺激されて術後1週間ほど、筋肉痛のような痛みや胸の張りが生じす。約2週間で痛みや張りが落ち着き始めるのが一般的です。
痛み止めなどの処方を受けつつ、医師の指示に従い、必要な休養とケアをしましょう。
術後の縫合部は、当初赤みややや硬さが目立つ傾向にありますが、おおよそ1ヶ月を過ぎた頃から徐々に落ち着き始めます。時間とともに色素沈着も薄れ、3ヶ月程度でなめらかな質感へと変化していくケースが一般的です。
また、シリコンバッグが長期間体内にあった場合、その周囲に形成された被膜が硬化して「拘縮(こうしゅく)」を起こしていることがあります。除去後の被膜組織は術後1〜3ヶ月のあいだに自然とやわらかくなる傾向があり、しこりや突っ張り感も徐々に軽減していきます。
この回復過程においては、喫煙や急激な体重減少など、血流や組織修復に悪影響を与える要因を避け、医師の指導に基づいて定期的な経過観察を続けることが望ましいです。
豊胸バッグ除去後は、術前に比べてバストのボリュームが減少しますが、術後3ヶ月以降は形状・ボリュームの定着期に入ります。この時期に形が安定し、より自然なラインに変化していきます。例として、3〜6ヶ月が完成形の見込み期間です。
個人差があるため、この期間もフォローアップを継続し、必要に応じて医師の判断で対応すべきです。
定着とは、組織が新しい状態で安定することです。比較的体調の良好な場合、約2ヶ月程度で手術後の定着が進むとされています。ただし、バッグの挿入期間が長い方や拘縮の強いケースでは、さらに時間を要する場合があります。
シャワーとは、浴槽につからずに全身を洗う方法です。術後翌日または2〜3日目から全身シャワー浴が可能となることが多いです。ただし、浴槽につかる入浴は抜糸後、約1週間目以降からが望ましいです。
傷口を濡らす際には、優しく泡で洗浄し、こすらないことが重要です。
デスクワークとは座位で行う軽作業のことで、術後1週間ほどで再開が可能となることが一般的です。軽い家事についても同様で、無理のない範囲で日常生活を再開すべきです。
ただし、胸に負荷のかかる動作は避け、経過を見ながら段階的に進めるべきです。
激しい運動とは、有酸素運動や筋トレなど心拍数が上がる行為です。術後約1ヶ月ほど経過してから再開するのが安全です。重労働とは、物を持ち上げるなど胸周辺に負荷が及ぶ作業を指します。再開には1ヶ月以上の休養が必要です。
シリコンバッグの除去と同時に再挿入を行う場合、腫れや内出血、痛みなどの炎症反応が強く出る傾向があり、単独除去よりもダウンタイムは長引くことが多いです。
再挿入に伴う組織の操作量が増えるため、回復過程も複雑化しやすく、術後の経過観察や固定処置をより丁寧に行う必要があります。
このようなケースでは、術後2〜3週間は経過観察期間として確保し、軽作業の復帰タイミングなども慎重に判断すべきです。
長期間バッグを体内に留置していた場合、被膜の肥厚や石灰化、強い拘縮が進行していることがあり、これらの除去処置が追加される分、術中操作が複雑になります。
結果として、術後の腫れや内出血が広範囲に及びやすく、痛みや張りの回復にも時間を要します。このような症例では、術後の安静期間を1週間以上確保し、胸部への負荷をかけない生活を徹底すべきです。
バッグ除去と同時に脂肪注入を行う場合、注入部位に生じる腫れや内出血の影響でダウンタイムは延びやすくなります。脂肪は定着するまでに時間を要し、特に術後3週間〜1ヶ月は定着率を左右する重要な時期となります。
術後の過度な運動や圧迫は脂肪の生着に悪影響を与えるため、この期間中は生活指導に基づいた行動制限を厳密に守る必要があります。