ヒアルロン酸豊胸が海外で禁止される理由と日本でも非推奨な理由

ヒアルロン酸豊胸が 海外で禁止される理由

「ヒアルロン酸豊胸は危ないと聞いたけれど、実際はどうなのか?」

このような疑問を抱えて検索にたどり着いた方も多いのではないでしょうか。

近年、豊胸目的でヒアルロン酸を注入した後に痛みやしこり、違和感を訴えるケースが増えています。しかし、日本では明確な禁止措置がないため、リスクを十分に理解しないまま施術を受けてしまう方も少なくありません。

本記事では、国内外の規制状況や学会の見解、具体的なトラブルとその対応法、そして代替となる安全性の高い豊胸法までを、豊胸を専門とした形成外科専門医の立場から客観的に解説します。

目次

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ヒアルロン酸豊胸なぜ「禁止」と言われるのか?

欧米(米国・フランス・EU)での禁止・非承認

米国のFDA(アメリカ食品医薬品局)では、ヒアルロン酸を豊胸目的で使用することは未承認とされています。

未承認とは、その用途において医薬品や医療機器の安全性・有効性が公的に認められていない状態のことです。

FDAは、ヒアルロン酸を顔面や手などのしわ治療目的では承認していますが、豊胸に対しては承認しておらず、この用途での使用を強く警告しています。

法律で明確に禁止されているわけではないものの、未承認であるということは、医師がその目的で使用することが事実上許されないという意味です。これは実質的な禁止状態に近いと解釈されます。

一方、フランスでは2011年、美容目的でのヒアルロン酸豊胸が明確に禁止されました。これは、注入後のしこりや炎症、画像診断への影響といった合併症が多く報告されたためです。

EU各国でも同様に、美容目的での胸部注入に対し厳しい規制が設けられており、施術の中止を明示的に求める動きが広がっています。

日本の専門学会や厚労省見解

日本美容外科学会(JSAPS)は、ヒアルロン酸による豊胸術を「行わないことを強く推奨する」と明言しています。

これは、長期的な安全性が確立されていないことや、合併症のリスクが高いためです。

また、日本美容外科医師会も同様の立場をとっており、特に自己判断で施術を受けたケースでのトラブルが相次いで報告されています。

さらに、厚生労働省は医療機関に対し、患者に対するインフォームドコンセント(十分な説明と同意)の徹底を促しており、施術時にはリスク説明と製剤名の明示が求められています。

危険性とリスクの整理:なぜ慎重に考えるべきか

しこり・硬結の発生リスク

ヒアルロン酸は本来、関節や皮膚に含まれる保湿成分で、体内で分解される物質です。

しかし、豊胸に用いる場合は大量に注入する必要があり、これが被膜を形成し、しこりや硬結(硬くなること)を引き起こす原因となります。

特に皮膚の浅い層や乳腺下に注入された場合、触れたときに明確にわかる異物感が残ることがあります。

しこりは自然には消えず、除去手術が必要になることもあります。

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感染・慢性炎症・異物反応の可能性

ヒアルロン酸は異物反応を引き起こす可能性があり、注入部位で感染や炎症が慢性化することがあります。

発赤、腫脹、痛み、膿の排出などの症状が数日以上続く場合は、感染が進行している可能性があり、迅速な処置が求められます。特に無菌操作が徹底されていない環境ではリスクが高まります。これらの症状が出た場合、基本的には注入物の除去が必要です。

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ヒアルロン酸の不均等吸収・左右差

ヒアルロン酸は時間とともに体内で分解・吸収されますが、その速度は部位や体質により異なります。

そのため、左右で形の差が出てくる「非対称性」が発生することがあります。

この左右差が目立つ場合には、再注入や修正手術が検討されますが、毎回同じ結果になるとは限らず、理想的なバストラインの維持が困難となる可能性があります。

ヒアルロン酸の移動・形状変化

ヒアルロン酸は注入後も流動性を持つため、時間の経過とともに予定していない方向に移動することがあります。

重力や筋肉の動きの影響を受けやすく、バストの輪郭が不自然になる原因となります。

例えば、胸の下部に移動して垂れた印象になったり、脇に流れて広がった印象になったりするケースもあります。

乳がん検診(マンモグラフィー)への影響

ヒアルロン酸を注入した部位は、マンモグラフィーの画像診断において「デンスブレスト(高濃度乳腺)」と似た影響を与え、がんの発見を妨げる可能性があります。

また、注入物が石灰化し、がんとの鑑別が難しくなることもあります。そのため、乳腺外科医がヒアルロン酸の存在を知らずに検査した場合、誤診や見落としにつながるリスクがあります。

長期残存による除去困難性

本来分解されるはずのヒアルロン酸でも、大量注入や硬化によって体内に長期残存することがあります。

ヒアルロニダーゼ(ヒアルロン酸を分解する酵素)を用いても完全には除去できないケースがあり、切開して摘出する必要が出てくることもあります。

特に、乳腺や大胸筋周囲にまで浸潤している場合は、摘出の難易度が高くなり、健常組織への影響も避けられません。

ヒアルロン酸豊胸以外の安全性が確立された豊胸法

脂肪注入豊胸のメリットと注意点

脂肪注入とは、自身の脂肪を採取して胸部に注入する方法です。自己組織を使用するため異物反応が少なく、自然な仕上がりが期待できます。

特に、痩身目的での脂肪吸引と組み合わせて行える点がメリットです。

一方で、生着率(定着する割合)は50〜70%程度とされており、一定期間でのボリューム減少が予想されます。脂肪が壊死してしこりになるリスクもあるため、適切な注入量と手技が求められます。

シリコンバッグ豊胸の安定した実績

デュアルプレーン法

シリコンバッグは長年の臨床実績があり、サイズの調整がしやすいのが特徴です。

近年では表面の質感や形状に改良が加えられ、自然な触感と外見を両立しやすくなっています。

バッグ破損やカプセル拘縮(被膜の収縮)などのリスクもありますが、定期的な検診と適切な管理によって多くのトラブルは防止可能です。

また、適切な位置に挿入されれば、検診への影響も最小限に抑えられます。

ハイブリッド豊胸(脂肪+バッグ)の選択肢

ハイブリッド豊胸とは、シリコンバッグと脂肪注入を併用する方法で、それぞれの利点を生かしたアプローチです。

バッグによりバストのベースサイズを確保し、脂肪で表層をカバーすることで、より自然な質感が得られます。

術後のダウンタイムは2週間前後で、痛みや腫れは個人差がありますが、通常は徐々に軽快します。

特に自然さと確実なサイズアップの両立を望む方に適しています。

トラブルが起きた時の対応と修正方法

しこり・感染への迅速な対応法

ヒアルロン酸によってしこりや感染が生じた場合、まず必要なのは正確な診断です。

画像診断(エコー・MRIなど)で範囲や深度を把握し、状態に応じて処置を行います。

軽度であればヒアルロニダーゼによる分解を試みますが、改善が見られない、または感染が進行している場合には、切開による摘出が必要です。

この判断は早期であるほど組織へのダメージを最小限に抑えることができます。

ヒアルロン酸豊胸でよくある質問

Q1: ヒアルロン酸豊胸は一度受けたら元に戻せないのですか?
Q2: 豊胸後に痛みや違和感があります。すぐに除去すべきですか?
Q3: 海外では禁止されているのに、日本ではなぜ受けられるのですか?
医師紹介
藤林万里子院長
藤林 万里子
(GLAMRULE CLINIC GINZA 院長)
東京美容外科銀座院の院長として、多くの患者様の悩みに寄り添ってきた経験を活かし、銀座にグラムルールクリニックを新たに設立。
「女性による女性のためのクリニック」をコンセプトにしながら安全性と自然な仕上がりができる豊胸施術を専門に美容医療を提供しています。
豊胸施術を始めとする美容整形に関するお悩みがありましたら気兼ねなくLINEからご相談ください。
主な資格
  • 日本形成外科学会 認定専門医
  • 日本美容外科学会(JSAPS) 正会員
経歴
  • 2016年 スキンリファインクリニック吉祥寺院院長 勤務
  • 2021年 東京美容外科 銀座院院長 勤務
  • 2024年 GLAMRULE CLINIC 銀座院 院長

GLAMRULE CLINIC GINZA-グラムルールクリニック銀座-

                   

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